『敵を知り己を知れば、百戦危うからず』 孫子
健康について考える際には、
『健康に悪影響をするもの=敵』
『自分=己』
について、それぞれ『確認作業』をしましょうとお伝えしてきました。
前編、中篇につづいて、今回が確認作業の3回目、後編です。
前編は、健康についての『敵』について解説をさせていただきました。
今回は、中篇は引き続きまして、『己』について確認をしていきましょう。
『己=自分』を知るために確認をする項目は、
① 年齢
② 体型
③ 体質
④ 性別
⑤ 持病の有無
⑥ 目的
でしたね。
①②までは、中篇でお伝えをさせていただきましたので、今回は③体質からご説明をさせていただきます。
③ 体質
体質に関しては、みなさまそれぞれご自覚があることが多いと印象です。
「太りやすい体質だから」などはよく会話でも出てきますね。
また、両親や兄弟など血のつながりのある方も「父が血圧が高かった」、「おねえさんがコレステロールが高くて治療中」だといった、遺伝の要素についてもみなさまよくお話に出てきます。
ですので、あとは健康維持のためには、その面については『人並み以上にとくに気をつける』ということしかないということになります。
毎日の生活ことですので、気が緩んだり、意識が薄れたり、もしくはあきらめたりしがちですが、『生活習慣病』対策や、『体力』維持は、日々の積み重ねが、高齢期になって大きく影響をしてきます。
のちのち後悔をしないために、ご自分の体質(己)を認めつつ向き合うことが大切です。
毎日の生活はご自分ひとりのことではありませんので、ご家族でお互いの体質について、一度話し合ってみて、気になることはお互いに声を掛け合ったり、配慮しあうようにして、家族全体で前向きに健康増進活動に取り組んでみてはいかがでしょうか?
④性別
男性と女性が性別が異なることはもちろんなのですが、病気や健康という観点でも、違いを確認しておく必要があります。
たとえば、検査項目の基準値も男女で異なるため、注意が必要です。
分かりやすい例では、ホルモンの違いによって、女性は『骨粗しょう症』や『高脂血症』になりやすくなります。
前者は、骨折予防対策が男性よりも必要になりますが、後者は同じ値だとしても、男性のコレステロール高値とくらべると、深刻度が少し低くなります。
男性は、65歳以上では『がん』になってしまう確率が女性の二倍にもなりますが、一方、40歳台までは、『乳がん』や『子宮がん』の危険性がある女性の方ががんにかかる確率は高くなっています。
③の体質や④の性別は、病気との関連や、検査結果の持つ意味あいなどは、個人ごとにさまざまなパターンがあり、すべてをここでご説明をすることはできませんし、一般の方々がそれらを勉強する必要はありません。
ぜひメディビトネット健康七箇条『第五条 医 療 関 係 者 の 相 談 相 手 を 持っ 』ていただき、ふだんからご相談をされることをおすすめいたします。
重要な点だけを大まかにまとめますと
男性は『生活習慣病』、『がん』になりやすいので注意
女性は『骨粗しょう症』、『体力』など介護予防対策が重要、『女性特有のがん』にも注意
⑤持病の有無
何度かご説明をさせていただきましたが、『メディビトネット健康七箇条』は健康維持のための指標です。
すでに特定のご病気をお持ちの方は、それにあった治療や食事、運動などを行う必要は当然出てきます。
『病気の基礎知識』のコーナーでは100以上の疾患に関して解説をしています。その中に、『ホームドクターからのアドバイス』というコーナーがあります。
長野県の医良者の方々が、ふだん診察室などで患者さん方に助言をしているアドバイスを集めています。
参考になる具体的かつ、実践的な助言がたくさん載っていますのでぜひご参考にしてください。
しかし、第2回目のコラムで『かたより』はよろしくないとご説明をさせていただきましたね。
ご自分のご病気や弱いところに個別に対処をしつつも、その他の面で健康を維持するためには『健康七箇条』の実践はぜひご継続ください。
⑥目的
さて、『己を知る』の最後になります。
みなさまは食事や運動に気をつけるさいに、『目的』をきちんと意識したことがありますでしょうか?
拝見をしていますと、多くの方がしっかりとした目的を意識せずに、ばくぜんと『食事』療法や『運動』療法に取り組んでいます。そのため、本来自分が達成したい目標とずれた『食事』や『運動』を行っていることをたびたび目にします。
それだけ『食事』や『運動』が、さまざまな成果を得るための基本的かつ最も効果がある『療法』だからこそ、さまざまな情報と混じりあって、みなさまを混乱させているのだと思います。
ここでみなさまと一緒にしっかりと整理をして見ましょう。
みなさまが『食事』や『運動』に取り組む『目的』の大きなものをあげてみました。
・減量、ダイエット
・動脈硬化、生活習慣病対策
・体力づくり、スポーツ
・美容
よろしいでしょうか?
それぞれ目的として異なることがお分かりいただけますでしょう。
ここで、あなたが達成したい目的をはっきりと区別しておくことが大切です。
『減量、ダイエット』『健康』と『体力づくり、スポーツ』、『美容のため』とはそれぞれ目的としては異なりますので、当然『食事』、『運動』の取り組み方は異なってきます。
食事 |
運動 |
|
減量 ダイエット |
効果高い 間食をせずに空腹時間を作る 炭水化物、糖質、脂質を減らす |
運動だけで体重を落とすことは難しい |
動脈硬化 生活習慣病対策 |
効果あり 詳細は『病気の基礎知識』の各ページを参照 |
効果はあるが、食事が優先 |
体力づくり スポーツ |
筋肉を構成するたんぱく質を心がけて摂る |
効果あり |
美容 |
おそらく効果あり |
おそらく効果あり |
多くの方とお話をしていますと、『生活習慣病』や『肥満、メタボリック症候群』の方々は、「最近運動をしていないから」とよくおっしゃいます。
しかし、『生活習慣病』、『肥満、メタボリック症候群』の両者へ、『食事』と『運動』がそれぞれどれほど影響を与えているかと言いますと、私の個人的な印象ですが、おそらく『食事』が7~8割、『運動』が2~3割程度の効果の差があると考えています。
分かりやすい例で言いますと、ご飯茶碗1杯はおよそ140~160gですので、カロリーに換算しますと230~270キロカロリーに相当します。
Q:では、あなたの目的が『減量』であったさいに、これをウォーキングで消費するには、何分歩く必要があるでしょうか?
あなたは、体重50kgで時速4.8kmで歩くと仮定します。
A:77分間で236キロカロリー消費。6160mも歩いてようやく帳消しになるなのです。
※一日ならまだしも、80分、6kmのウォーキングを毎日がんばり続けることはなかなか達成できることではありません。減量、ダイエットが目的であれば、それよりも毎日少しずつ食事量を減らしたほうが、はるかに効率が良いということがお分かりいただけましたでしょうか?
目的別の『食事』と『運動』につきましては、いずれ期会を改めまして、このコラムで詳しく解説をさせていただきます。
繰り返しになりますが、世の中には多くの健康情報があふれています。情報がまとまっていないために、局所的な枝葉末節の部分にこだわった健康法や、効果が不明な目新しい方法に目を奪われないことが大切とご説明をしてきました。
そして、今回ご説明をしましたように、毎日関わっている『食事』や『運動』に関連することでも、基本的なことをご存知ない方もたくさんいらっしゃいます。
あれもこれもはできませんし、逆にせっかく取り組んでも、方法や取り組む方向性が間違っていると、十分な効果が得られません。
より効果が高めるためには、健康七箇条 第七条『正 し い 知 識 を 持 っ て 、 実 践 、 継 続 す る 』が大切になります。
さてこれで、健康七箇条の前に確認をしておく『敵』と『己』の確認作業についてご説明をさせていただきました。
ここまで読んでいただいただけで『なかなかやることが多くて大変!』とお感じになられた方の多いかもしれません。
たしかに、これからご説明をさせていただく『七箇条』を行うだけでも大変なことでしょう。
しかし、『健康の敵』のところで確認をしましたように、日本人の要介護の原因や死因の上位に立ち向かう直接的な方法ばかりです。
むしろ、ほかの健康法を試している『暇がない』のだと気づいていただけることを期待をしています。
いよいよ次回より『健康七箇条』の第一条『しっかり食べる』より、詳しく解説をさせていただきます。
健康七箇条…の前の確認作業 後編 (今回)
健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条 第一条④